みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。
コロナ禍になって、「授業の在り方」が根底から見直されることになり、対面、非対面、ハイブリッドと、あの手この手でどうにか質の良い授業を届けようという取り組みが盛んに行われています。そして、その次のステップとして、サボり以外の正当な理由での欠席になってしまう学生への対処や、自習、復習のためのサポートを考えられるようになってきています。
私も種々の事情で授業に出られない学生のために授業をリアルタイムで配信するなど対応してきましたが、今は振り返りのためのレコーディングについて考えています。おそらく、最も簡単な方法は、スマホのムービー機能で定点カメラでの撮影です。お手軽ですし、すぐに見られるのもメリットですね。しかし、そうすると当然ながらオンライン配信はできません。レコーディングが目的ならそれもアリですが、どうせなら同時配信もやりたいところです。
配信を考慮すれば、何らかのストリーミングサービスやzoomなどのWeb会議サービスを活用することになります。このあたりはおそらくみなさんも十分使えるレベルに到達しているのではないでしょうか。少なくとも参加者としてならつなぐだけで使えます。
Web会議サービスを利用するならば、マイクやカメラが必要です。最近はカメラは不要かなとも思っていますし、学生さんに顔出し要求はしません(出席確認の一瞬ぐらいならお願いするかもですが、無理強いは絶対しません)し、私の映像よりも資料に興味があるはずです。となると、やはりマイクが問題になりそうです。
授業の形態によっては、教壇から一切動かず話し続けられるかもしれません。その場合は、パソコン内蔵のマイクでもどうにかなるでしょう。しかし、私のように実習も伴う授業の場合は教室内を歩き回るので、マイクは手持ちで、かつ無線であることが望ましいです。教室内で使用できるマイクをパソコンにつなげられるなら解決しますが、大抵は専用の機材で教室内のマイクは組み込まれているので基本的に無理です。
さて、前置きが相変わらず長いですが本題です。
Web会議サービス用のマイクをどうするか。これがなかなか難しいところなのです。もちろん、Bluetoothのマイクというのも売っていますし、それを使えば解決しそうです。ただ、レコーディングだけが目的ではなく、遠隔配信も兼ねているとすれば、遠隔参加している学生さんともコミュニケーションできる必要があります。もちろん、遠隔配信は授業のサービスとしてやっているだけで、教室に来るのが筋だという向きもあるでしよう。そういう価値観も理解できますが、私は学生さんとのコミュニケーションを重視したいのでやはり音声も聞き取れる方が嬉しいです。
いろいろこの一週間試してみましたが、一番良さそうなのは、「外音取り込み機能のある完全ワイヤレスヘッドセット」で授業することです。通常のヘッドセットだと装着した時点で外部の音声が極めて聞き取りづらくなり、本来一番大事にしないといけない教室内のコミュニケーションに支障が出てしまいます。したがって、外音取り込み機能は必須です。
この手のヘッドセットの多くはノイズキャンセリング機能を有していて、外音取り込みモードにするとかなりクリアに音声が届きます。ただ、少し人工的な音声に変わってしまい、私はあまり好みではありません。例えば、SONYのWF-1000XM4とかWH-1000XM4ですね、私が持っているもので言えば。もちろん音楽を聴くことに関しては最高なのですが、ヘッドセットとして、今回のような用途でと考えると人工的な音がやっぱり気になります。音楽を気持ち良く聴きたい!という理由でSONYのノイキャンシリーズに興味がある方はこちらからどうぞ。
一度WF-1000XM4で授業をやってみましたが、ちょっと聞き取りづらかったり、音に違和感があって何度か外す必要がありました。やはり、ノイズキャンセリングタイプのものはこういう用途だと微妙なようです。
そこでふと思い出したのが、SHUREのRMCE-TW1です。これは、MMCXタイプのイヤホンを無線化するためのヘッドセットで、AONIC 215をセットしたモノを買えば買っただけで使えますが、通常はこの先っぽに付けるイヤホン本体が必要になります。幸い私はSE215やSE535、AONIC5を持っているので、これを使えば良さそうだという思いつきです。ただ、RMCE-TW1には大きな問題があって、ザッと上げると以下の通りです。
- ケースから取り出しても電源が入らないからめんどくさい
- ステレオ通話に対応していないからヘッドセットにすると右耳しか聞こえない
特に、ステレオ通話に対応していないのは致命的で、私は片耳だけのヘッドセットでは違和感があって集中できないので、ステレオ通話に対応しているものしか使えません。実は、RMCE-TW1を買ったときにはステレオ通話に対応していないことを知らなくて、着信して初めて気付いた仕様でした。これは本当にツラかったので、実はそのままお蔵入りしていて、先日上の娘にプレゼントすることになりました。たぶん、こんなネガティブ評価のものを欲しい人は居ないと思いますが、欲しい方はこちらからどうぞ。
しかし、片耳通話という致命傷はさておき、RMCE-TW1の最大のメリットは、外音取り込みがものすごく自然なことです。ノイズキャンセリング機能がないので、素直にマイクで周囲の音を取り込んでくれます。レベルも設定できるので、大きすぎず小さすぎずというちょうど良いレベルで外音を取り込んでくれるのです。この機能を使わない手はない。
そういうわけで、ついに授業の配信&レコーディングを両立できるヘッドセットが見つかったわけですが、片耳でしか使えない……。そう思いつつ、実は以前から知っていたRMCE-TW2という後継機種をきちんとチェックしてみたところ、なんと、ケースから取り出すと電源がONになり、ステレオ通話になっているというではありませんか。もうこれしかない、そう思って早速ポチッといきました。
ビックリするぐらい同じ画像が出ていますが、上がTW1で下がTW2です。このTW2がおそらく最適解になると思っていて、これ以前のRMCE-BT2というモデルに匹敵する素晴らしさだと思います。BT2のモデルは、レシーバーからイヤホンまでは有線でつながっているタイプなので、少しだけケーブルが残っているモデルです。そのためステレオ通話もできるのですが、やっぱりケーブルは煩わしい。音質はAptX HD対応なのでTW2よりも良いのですが、授業中に歩き回って話すことを考えたらTW2がベストですね。
ようやくいろいろ試して、配信とレコーディングと教室での授業全てを満足させられる環境が整いました。これでしばらく授業を回してみて、配信が必要な人にはレコーディングしたものを配って、円滑に授業を進めていきたいと思います。
時代はどんどん変わるので、レコーディングした授業を再利用することでオンライン授業も土日の集中講座みたいに流せるかもしれないし、一粒で二度も三度も美味しくできるようにしていきたいですね。