みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。
大学入試の第一関門、共通テストが終わりました。もちろん、何かしらのトラブルや特定感染症などの対応があれば再試験があるのですが、ひとまず大きな試験が終わりということでホッとしている、そして気を引き締め直している受験生が多いのかなと思います。
共通テストの時期になると、大学教員側から色んな話が漏れ聞こえてくるのも面白いですね。私も教員の立場として業務には関係していますが、やはりものすごく体力的にも精神的にも疲労感のある仕事ではあります。事細かに業務内容を書いたりすることはできないので、受験生側から見えている部分だけほんの少し書いてみたいなと思ったりします。
まず、「そもそもどこの大学が会場に選ばれるか?」ですが、基本的に国公立の大学では共通テストの結果を受けて二次試験に臨む形式のため、ほぼ全ての国公立の大学が会場となります。その辺りは理解しやすいところですね。では、私立大学ではどうかというと、たいていの場合、「共通テスト利用方式」のような入試が展開されている大学が会場になります。つまり、大学が共通テストを利用していなければ会場にはならない、ということですね。私が業務に就いているということはそういうことです。
しかし、本学はとても大変な登山を要求される場所にあるので、お隣の神大よりもさらに大変だったりします。バスも途中まで乗れますが途中までですし、タクシーを使うのが一番かなと思ったりします。しかも2日間の長丁場ですから、受験生の立場からすれば「ハズレ」の会場かもしれません。入学していただければ、ものすごく景色も良く、静かな学習環境が提供されているとても良い大学ですので、その点はご安心を。大学まで直通のバスも神戸市営バスとの提携で出していますから、学生さんは正門まで直通のバスに乗れます。
共通テストの何が大変って、試験に関連するものを試験会場まで運搬することです。大抵の大学は平面で構成されているはずなので台車などで運べば済むのですが、先述の通り、本学は急斜面に作られた大学なので、お隣の建物なのに2階と5階が渡り廊下でつながっているレベルで階層構造になっているため、どうしても階段移動が発生します。そうすると何が大変かというと試験関連のものの重量がのしかかってくることです。
特に、地歴政経倫理現社あたりの1日目1発目の試験などは大変です。なんせ、全ての科目の問題が一つの冊子になっているので、5名分で1パックになっている問題冊子がそれだけで厚みが10cm近くあるような状況です。そんなものを20パックぐらい運ぶわけですからめちゃくちゃ重労働なんですよ。これのお陰で筋肉痛が大変なことに。
もちろん、よく問題になっているカンニング対策とかでも気は抜けませんし、当然のことながらスマートフォンやパソコン、読み物などを持ち込むことは厳禁ですから、試験中の大半が「待機」です。これが結構精神的に来ます。問題を読んで解いてみる、なんていう甘い囁きもあるのですが、そんなことをしていたらすぐに拡散される世の中ですからね・・・。卓球部が陰キャみたいな話も翌日に知ったレベルです。問題冊子を開けてすらいませんから。そういえば、今年は丸亀警察に出頭した人はいないのでしょうか。そういうのがあったら本当に大変なので、一瞬も気が抜けません。
ただ、色んな疲労があるのですが、最大の疲労はやっぱり「リスニング試験」の対応です。これ、結構事故率が高くて、ちょっとでも問題が発生すると延長戦も発生してしまうのです。そのため、この時間だけはおそらくどの大学のどの会場でも「何事も起きませんように・・・」と全大学教員が祈りを捧げているところです。みなさんの大学では祈りは届いたでしょうか・・・?(私の担当していた部屋では問題は一切起きず、終わった瞬間に担当者で目配せしてしまったぐらいにホッとしました)
近年は、2019年末から猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響もあって、換気しないといけないという問題と、冬場なので寒くないようにしないといけないという問題、さらには、リスニング試験のためというならば静寂を確保しないといけないという問題があって、どれもこれもトレードオフというかあちらを立てればこちらが立たず状態で運用が大変です。エアコンがうるさいというレベルでナーバスになっている受験生に少しでも快適に受験してもらえるような環境作りというのはとても骨が折れます。
他にも、指示をたくさん出さないとイケないというもの結構大変で、そのほとんどがスクリプト化されているのですが、時間的にタイトだったりします。いっそのこと、リスニング試験のように指示出しスクリプトも音声データで届いて、会場で順にそれを再生するだけ、という風にして欲しいなと思ったりします。おそらく、どの会場でもほぼ同じことを同じ時間に話しているだけですから。
国公立大学だと仕方ないにしても、私立大学の場合、共通テスト利用方式を採用し続けるのかどうかというのは一つの問題かもしれません。共通テストを利用した入学者がどのぐらいいて、在学中どのぐらいの成績を修めて、どういったところに巣立っていくのか、そういう調査を念入りに行って、価値があると判断しているから残っているのだと思いますが、今後も続けていくのかどうか検討している大学も少なくないと思います。丸一日完全に拘束されますから。
話せること話せないことがたくさんある共通テストの運営側のお話ですが、私の書いたことは調べればどこにでも書いてあることばかりです。裏側はもっともっと大変なんだよ・・・ということを少し想像してもらえると嬉しいなと思ったりします。
と、ツラツラ書きましたが、これから受験生のみなさんは本番です。悔いが残らないようしっかり頑張って下さいね。