役割不明確なプロジェクトでリーダーを正しく動かす実践的ガイド:RACIと影響力行使の技術

みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。

プロジェクトにおける個々の役割が明確になっていなくて困ったことはありませんか。

私は、そういうプロジェクトに巻き込まれてしまったことがあり、プロジェクトの根幹である、とある業務についてリーダーに担当者は誰ですかと問い続けて半年、結局そのプロジェクトは破綻してしまいました。だましだまし作業していましたが、それだけでは成功につながるわけもなく撃沈という感じです。そこさえ明確になっていれば仕事をバンバン振ってやってもらえば良かったのですが、なぜか担当者を明確にせず、こちらにそれを全てやらせようとしてくるあたり、責任を取りたくないんだろうなと思ってみていました。

そんな状況ではどれだけ良いプロジェクトでも失敗します。そうならなように心がけるべきことについてGeminiに聞いてみました。

役割不明確なプロジェクトでリーダーを正しく動かす実践的ガイド:RACIと影響力行使の技術のイメージ画像 (アイキャッチ)

役割不明確なプロジェクトでリーダーを正しく動かす実践的ガイド:RACIと影響力行使の技術

プロジェクトにおける「誰が何をするか」という役割分担(R&R)の不明確さは、進行を滞らせる最大の要因の一つです。特に、更新依頼やエラーフィードバックのキーパーソンが分からず、本来リーダーが担うべき役割定義が現場に丸投げされている状況は、プロジェクトの危機を示しています。

プロジェクトの役割を明確化し、リーダーを正しく動かすためには、「現状の問題点の可視化」「提案すべき具体的な解決策(役割定義のフレームワーク)の提示」「意思決定を促す期限設定」の3段階のアプローチが必要です。これは、実務担当者がリーダーシップを発揮してもらうための『影響力行使』のプロセスです。

役割分担の不明確さがもたらす具体的なリスク

役割の曖昧さは単なる非効率ではなく、プロジェクトの成功を直接脅かす構造的な欠陥です。キーパーソンが分からない状況は、以下のような重大なリスクを引き起こします。

  • 遅延とボトルネック:重要な意思決定やフィードバックが必要な際に、承認ルートが確立されていないため、作業が停滞します。
  • 責任のなすりつけ合い:問題が発生した際、誰が最終責任者(Accountable)であるかが不明瞭なため、解決が遅れたり、責任逃れが発生したりします。
  • モチベーションの低下:「誰かがやってくれるだろう」という意識や、自身の作業が本当に重要かどうかが分からなくなることで、チーム全体の士気が低下します。
  • リソースの重複と無駄:同じ作業を複数の人が行ったり、誰もやらなかったりする非効率が生じます。

この混乱した状態を脱するためには、まず現状の緊急性をリーダーに理解させることが重要です。

リーダーを正しく動かすための戦略:3ステップアプローチ

リーダーは本来、組織全体の戦略や多忙な業務を抱えていることが多いため、具体的に「何をすべきか」「なぜ今すぐすべきか」を明確に提示することが、彼らを動かす鍵となります。このアプローチは、現場からの建設的な提案として機能します。

ステップ1:現状の問題点と緊急性の可視化

感情論ではなく、データと事実に基づいて現状の深刻さをリーダーに報告します。

  1. 具体的な事例の提示:「〇〇の機能更新依頼が、誰に連絡すればよいか分からず3日間停止しています」のように、具体的なタスクとその遅延期間を報告します。
  2. コスト換算:遅延がプロジェクト全体に与える影響(例:リリース日の遅延リスク、顧客満足度の低下)を、可能な限り時間やコストに換算して伝えます。
  3. リーダーの役割の再確認:「これらの問題を解決し、チームを効率的に動かすのは、リーダーである〇〇さんの重要な役割である」という前提を暗に伝え、意思決定の必要性を強調します。

ステップ2:具体的な提案フレームワークの提示(RACIマトリックスの活用)

問題点を指摘するだけでなく、解決策をパッケージ化して提示することで、リーダーは「承認するだけ」の状態になります。最も効果的な役割定義フレームワークの一つが、RACIマトリックスです。

RACIマトリックスとは

RACIは、特定のタスクや成果物に対し、誰がどの責任を持つかを定義する手法です。リーダーに対して、このマトリックスを埋める作業を提案します。

  • R (Responsible): 実行責任者。実際にタスクを実行する人。
  • A (Accountable): 最終責任者。タスクの承認や決定を行い、最終結果に責任を持つ人(通常はタスクにつき一人)。
  • C (Consulted): 相談者。決定前に意見や専門知識を提供すべき人。
  • I (Informed): 報告先。決定や実行後に結果を報告されるべき人。

提案行動:主要なタスクリストを作成し、暫定的なRACI案を提示した上で、「この案について、〇〇さん(リーダー)にA(最終責任者)を確定していただきたい」と依頼します。

ステップ3:意思決定の期限設定とフォローアップ

リーダーの忙しさを考慮し、「いつまでに意思決定が必要か」を明示しないと、課題は放置されがちです。

  1. 期限の設定:「来週月曜日の午前中までに、RACIチャートの承認をお願いできますでしょうか。これを過ぎると、〇〇タスクの開始がさらに一週間遅延します」のように、具体的な期限と影響をセットで提示します。
  2. 会議設定の提案:曖昧なメールでのやり取りではなく、15分程度の短いミーティングを設定し、その場で即時意思決定を促します。
  3. 記録と共有:決定事項(RACIチャート)は必ず文書化し、プロジェクトメンバー全員に共有することで、役割の明確化を永続的なものとします。

FAQ:リーダーシップを発揮してもらうための質疑応答

リーダーが多忙で提案を聞いてくれない場合は?

重要なのは「提案の短縮化」と「優先度の設定」です。長文の資料を送るのではなく、要点を絞ったメールで「問題点(〇〇が止まっている)」「解決策(RACI導入)」「意思決定に必要な時間(15分)」の3点のみを提示し、ミーティングの予約を一方的に提案する(アポを取る)ことが有効です。

RACIチャートはどのようなプロジェクトに向いているか?

RACIは、複数の部門やステークホルダーが関与し、役割の境界線が曖昧になりやすい複雑なプロジェクトに特に向いています。特に、規制対応や重要なシステム開発など、明確な承認ルートが不可欠なプロジェクトでその効果を発揮します。

プロジェクト開始前に役割を決めるメリットは?

プロジェクト開始前にRACIなどのフレームワークで役割を定義することで、潜在的な衝突やボトルネックを未然に防ぎます。これにより、チームメンバーは迷うことなく自分のタスクに集中でき、プロジェクト全体の効率と品質が劇的に向上します。これは、初期段階での「予防投資」です。

上部へスクロール