みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。
まだまだ自転車通勤に復帰して間もないので、基本的に無理はしないという運用をしています。例えば、雨予報なら潔く電車で行く、不意に雨が降ってきたら近隣の駅へ移動して輪行する(幸いなことに都市部から離れる方向へ通勤するので比較的空いていて載せやすい)、自分が自動車を運転している立場から考えて「ここに自転車は居て欲しくない」という位置には絶対着かないようにする、などです。当然と言えば当然の自主防衛なのですが、早速怖い思いをしてしまいました。
まずはこちらの画像をご覧下さい。どう見ても「近い」ですよね。実はこれ、「スリップストリーム」とか、自転車界隈では「ドラフティング」と呼ばれているポジション取りで、前を走る自転車が押しのけた空気の関係で、前の自転車の後輪より少し後ろ辺りに発生する「部分的な低気圧」を利用した走法なのです。F1なんかでも、どうしてそんなに引っ付いて走るんだ!?とビックリしたことがあるかもしれません。これには理由があって、流体力学的に計算すると、先行車の直後数メートルに気流の乱れが生じ、後続車からすると空気抵抗が軽減され、一説には30%もの体力の節約に繋がるとの話もあるほど有効なポジション取りなんですね。
はい、もうお分かりかと思いますが、帰宅途中の幹線道路で後続車にこれをやられました。やられました、と言うからには、空気抵抗が減るなどのメリットだけではないことも推測できると思います。当たり前のことですが、後続車にはメリットがあるスリップストリーム(ドラフティング)も、先行車にとっては非常に迷惑なものなのです。ロードバイク初心者なので高速領域での自転車の挙動なんて未体験でしたが、それでも「あれ?何か変な感じがするぞ?」と違和感を覚えるぐらいには気持ちの悪い感覚を持ちました。先行車にとってのデメリットは、
- 結果的に後続車を「牽引する」ことになるので体力が奪われスピードが落ちる(後続車のメリットの逆ですね)
- 振り返れば手が届きそうな距離に張り付かれるので精神的にツラい
- 引っ付きすぎているので安易にブレーキをかけられない
- 後ろの気流が乱れることによって走行安定性が損なわれる(私が気づいたのはこれです)
こんなところです。まだまだ他にもあると思いますし、プロの方から見れば本質じゃないかもしれません。ただ、決して「ガチ勢」を目指しているわけでもなく、まして「ツールドフランス」に出てやるとか「トライアスロン」にチャレンジしてやるとか思っているわけでもない、しがない通勤サイクリストで趣味の領域を出ない人間にとっては、こんなことをされると危険極まりないんですね。プロの方々がエースの体力を温存するためにチームで先頭を入れ替わってエースを牽引していく、というのは戦略として成立していると聞きます。しかし、私が走っているのは一般公道で、しかも交通量の多い幹線道路です。こんなところで先行車の挙動を乱すような行為は決してするべきではありません。こういうことを問題視している人はいないかと調べてみたら、たくさん情報が出てきました(この辺りの記事が私の言いたいことを言ってくれている気がしました)
勝手に想像しているだけなので実際には違う可能性も十分にありますが、おそらく昨日の自転車は「生活の知恵」のレベルでそういった行動に出ている気がしました。私の通勤路は海岸沿いを数km走ることになるので、基本的に風が強いです。特にこれをやられた時はかなりの向かい風で、後続車の方にとっては非常に良い風除けであるとともに、体力を消耗しない手段だったわけです。でも、私とあなたは全くの赤の他人で、私がどういう走り方をするか、あなたがどういう走り方をするか、一切共有できる情報がないにもかかわらず、そのポジション取りは大変危険じゃないですかね?と何度かチラ見したのですが効果もなく、仕方なく脇道に逸れて前後を入れ替わるようにして回避しました(生活の知恵、と言ったのは、その後追いついたので車間を空けて走行していたら、先行車を新たに発見して同じようにぴったり張り付いていたので、そう感じたわけです)。幸いなことに特徴的な方だったので、次に見かけたときは華麗にスルーできると思います。
私は自動車にもよく乗ります。実際、高速道路を走っていて大型トラックの後ろを走っていると燃費が良くなったりすることも知っています。自分の後ろに車が張り付いてくるとハンドルを取られることも知っています。知識があるからこそ回避できた危険ではあったのですが、何も知らずに「生活の知恵のレベル」でこのようなことをやっているドライバー、ライダー、サイクリストなどがいるとすれば、大変危険な行為なので厳に慎むべきと声を大にして言いたいですね。