プログラミングが共通試験の「必修科目」になる事を受けて考えておかないといけないこと

みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。

小学校の英語教育はますます英語嫌いを増やしてしまうという懸念がある、という話題が出たり出なかったりしていますが、プログラミングに関してはどうでしょうか。数学的な知識も全くない中で小学校からプログラミングを始めるとして、論理を考えるという理屈は分かるだろうけど、本質的な理解がどこまで進むのかはよく分かっていません。しかも、特定のプログラミング言語に特化しないように、概念を教えるための専門「言語」で指導するみたいなことを言っていますが、それも結局特定言語の仕様に引っ張られますよね、というスタートラインです。

そういうプログラミング教育ですが、やろうとしていること自体に反対するつもりはありません。やってみないと効果も何も分からないので、何もしないよりは、新しい取り組みをして評価して、必要に応じて改善して、ということをやれば良いと思います。そういう流れの中で、プログラミングが必修となった世代が数年先には大学に入学してくるわけです。

そういう時代が来ると、プログラミングを習ってきたのに大学では全く使わない、とか、基礎教養レベルだからと学んできたのにそれ以上を学べないのか、とか、いろんな話が出てくると思います。大学としては、初等教育レベルからプログラミングを学んできた学生さん達にどういう指導体制を取っていけば良いでしょうか。

工学部(に限った話ではないにしても)のように情報系を専門として扱う学部・学科があれば、少なくともそれに本格的に取り組みたい人はそこを目指すでしょう。これまでもそうでしたから。一方で、例えば私の職場のように、ほとんどが文系の学生さんで、入学してくる学生さんもプログラミングが好きとは限らない状況で、文科省の言うようにAI教育みたいなものにつなげるとすれば、どういう準備が必要になるでしょうか。

文系の学生さんであっても、興味さえあればプログラミングを教えること、その応用を教えることはできます。ただ、基礎教養としてのAI教育みたいなものに全学的につなげられるかというとこれはまたなかなか難しい問題です。必修科目として設置すべきか、選択科目として一部学生を対象にすべきかといったところからも検討しないといけませんし、文科省の求めるAI教育をどの程度まで理解させたら良いのか、扱えるようにさせたら良いのか本当に難しい問題だと思います。

ただ、そういう時代が来るのは明らかなので、何も準備せずに待つというわけにもいきません。大学としての教育体制を整えていくことはもちろんのこと、より本格的に学びたい学生が多いようであれば、出口としてどういうものを提供できるのか、まで検討しておく必要があります。

まだまだ時間はあると思っているとすぐに入学してくる時期になります。特に文系の大学の方で、同じようにAI教育をどうしていくか、新カリキュラムの入学生の指導をどうすべきかと考えていらっしゃるなら、是非意見交換したいなと思っています。準備しておかないと対応できませんから。

上部へスクロール