高専の○○情報工学科という学科

投稿日:2019年06月23日 |カテゴリー:学校, 研究

みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。

みなさんご存知の通り、おくむらは高専で10年ほど勤めていました。そこでずっと思っていたことがあるのですが、高専における「○○情報工学科」という学科の内情というか、ちょっと問題だなということを共有してみます。

「○○」には、電気、電子、機械、制御といった単語が入ることが多いのですが、この手の学科における「情報」の位置づけって実は大変微妙なんです。受験生の立場からすると、「高専に行ってコンピュータを学びたい」「○○情報工学科ってあるし、そこが最適では?」という判断になるはずなのですが、これが大きなミスマッチを生み出す諸悪の根源と言って良い状況になっています。というのも、○○情報工学科の中に占める情報の割合って決して高くなくて、どちらかというと「○○」の分野の方が強いという場合が多いですね。

おくむらが在籍したことのある電子情報工学科や電気情報工学科でもそうです。元々電子工学や材料工学的なことが専門の先生が立ち上げたある意味で形だけの情報だったり、学科内で空中分解しそうな状況になっていたりで、とても情報工学を教えているという状況ではないのです。不思議なことに、「○○情報工学科」だと、たいていの場合、○○の教員と情報の教員は水と油のようになってしまっていて、お互い分かり合えない悲しい現実があったりします。

そういう状況下で、何も知らない受験生は「きっとここで情報工学、コンピュータを学べるんだ!」と入学してくるわけですが、内情を知ってとても残念な思いをすることになります。特に、研究室配属を迎える4年生5年生になる頃には、「学びたい分野がない」とか「そもそも教員が少ないから電機とか電子とか興味がないのにそちらの研究室に入らざるを得ない」みたいな現実を知り、モチベーションが低下していってしまっています。おくむらも高専をやめる時はこの点とても申し訳ないことをしたなと常々思っているのですが、それでなくても若手が定着しない高専なので、仮に情報系の研究室があったとしても、研究をやめてしまって早十数年というような先生しか残っていなかったりします。

おそらく、ITだICTだと叫ばれて、とりあえず「情報」という名前を入れておけば学生募集のプラスになるだろうというような目算で学科名を変更したりしているはずですが、受け入れ体制ができていないのに見た目だけそれっぽくするのは何かが違う気がしています。なぜか情報の教員というだけで下に見られるという不思議な現象も体験していますし、余計に水と油が加速する状況なのでは・・・と思っていたりもします。

微力ながらおくむらにできたことと言えば、情報系の授業がほとんどなくなってしまう学年に対して、情報系のイベントを定期的にやるように仕向けたことぐらいです。そのお陰で、情報系を志望する学生が増えていること、情報系の学生がモチベーションを維持できていることはあると思いますが、教員側の受け入れ体制が全くできていないので、ガッカリさせてしまっているのも否めません。素直に「情報工学科」としてしまえば良いのかもしれませんが、おくむらを散々苦しめてきたパワハラ情報工学科もあるわけで、情報工学を学べるはずなのに教員の能力が足りないという謎の問題も発生したりします。

高専に入学してくる学生は大変優秀です。きちんと育てないと申し訳ないぐらいに素晴らしい学生ばかりです。形だけ「○○情報工学科」みたいなのを作って、希望に満ちた学生を落胆させるようなことはしてはいけないと思うんですよね。入試で面接をしていても、大半の学生が「AIがやりたい!」とか「ゲームを作りたい!」というモチベーションで入ってきているのにサポート体制がないのは問題だと思います。

いっそのこと、卒業研究は大学と連携するとかして、高専の教員だけでカバー出来ないところは、県立大学や国立大学の研究室へ配属させたりしたら良いのではないでしょうか・・・。そのまま編入するというのも良いでしょうし、研究成果も上がるはずです。高専の教員はそういうコラボの中で自身の研究を発展させれば良いと思いますし、学生のニーズに応えられない現状をどうにかしてほしいなと思っています。