NASAゲーム

投稿日:2018年04月25日 |カテゴリー:学校, 調査

みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。

合意形成ゲームの一つとして有名な「NASAゲーム」を授業で扱ってみました。90分の授業でやるには時間が短いのですが、それでも、みんな活発な議論をしていてとても面白い時間を過ごせたのではないかと思っています。

NASAゲームでは、状況として「月面に不時着したけど、どうにか遠距離にある合流地点まで行きたい。ただし、使える機材等は15種類しか残されていない・・・」という絶望的なもので、その15種類のものに優先順位をつけていくことが課題になります。最初、学生一人一人に自分自身の意見を考えさせるところから始まるのですが、「一人で考えるように!」と言っても質問が飛んでくるぐらいには非現実的なシチュエーションと15種類の機材等という設定です。

このゲームの面白いところは、実際にNASAの方々がこのゲームに取り組み、模範解答が用意されていることです。模範解答と自分の回答がどのぐらいズレているのかということを見てみるのが一つ、もう一つが制限時間内にグループ内で意見交換を行って、グループ内での合意を形成し、グループとしての優先順位をつけて模範解答とのズレを見てみるというのがもう一つの課題です。自分自身がつけた優先順位と模範解答との誤差よりも、合意形成後の誤差の方が小さくなっていれば合意形成がうまくいった、ということになります。

模範解答と逆順の優先順位をつけたときがおそらく最も誤差が大きくなるはずで、112になるはずです(誤差は模範解答との差の絶対値の和)。今回は7人チームを4チーム作って、取り組んでもらいました。各学生の個人で付けた優先順位を見ていると大きい人で80近く誤差が出ている状況です。どのチームも個人個人で見れば差がなかった場合もありますが、チームとしてみれば大半の人が誤差が小さくなっていて良い議論ができていたのだと思っています。

その中でも特に、誤差を20まで縮められたチームがあり、かなり良い議論ができたのだろう・・・と思って振り返ってみたのですが、どちらかというと「共感し合う」雰囲気の強いチームでした。私は性格的に「理詰めで話して、理解して、納得する」というプロセスが合意にいたるプロセスなんだと思っていましたが、共感を呼び、共感し合いながら合意していくというプロセスを見て、ある意味で目から鱗が落ちた状態でした。よくよく話を盗み聞きしていると、共感し合う中にもしっかりとした意見が出てきていて、チーム全体がうまく共感していて、順位の微調整が丁寧に進んでいく様子がよく分かりました。

そのチームには、元々自分が付けた順位よりも誤差が少しだけ大きくなってしまった学生さんもいたのですが、チーム全体で見てみると、他チームを圧倒して良い結果になっていました。つまり、わずかながら誤差が大きくなってしまった学生さんも含めて、丁寧に合意形成が進んだのだという証左なのだと思います。共感し合っているため、「自分の意見を変えさせられた」とか「人の意見を聞いてなかった」という状況にもならず、全員が納得して順位を出せていたので、素晴らしい結果だったのではないかと思っています。事後のアンケートでも、このチームはとても楽しめていたことが伺い知れました。

短時間でお互い納得のできる合意を形成できるかというと、初対面ならとても難しいことでしょう。気心が知れているのであれば、なおのこと相手のことが分かってしまうがゆえに、納得した上での合意は難しいのかもしれません。ただ、相手を否定したりけなしたりせず、多数決などの手段に寄らない話し合いをするという経験は適切な議論をするという上で良い経験になっていると思います。このゲームを選んでうまくできるか心配でしたが、結果として成功だったのではないかと思います。

ちなみに、その後遠隔指導している研究室でも同じ話をしていたのですが、我が強いメンツなのもあって、きっと合意できないね・・・という悲しいオチがついたのがハイライト。情報系の学生(教員)は我関せずというか自分のテリトリーからはみ出すことをしない(他を認めようとしない)傾向があるので、こういうゲームを積極的にやりながら人間らしいディスカッションができるように自己研鑽した方が良いのではないですかね・・・。私の周りの情報系だけかも知れませんが・・・。