ライブ配信授業での「顔出し」は不要

投稿日:2020年09月03日 |カテゴリー:勉強, 学校

みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。

コロナ禍の影響で大学では授業がオンライン化され、せっかく入学した大学に通うこともできず、自宅への引き籠もりを余儀なくされている学生も多いことと思います。おくむらの所属している大学でも、2020年度は基本的にオンライン授業ということになっていて、授業準備にもものすごく時間が取られています。

さて、表題の「ライブ配信授業での顔出し」についてです。時々記事にもなっていて、顔出しの強要はハラスメントだ!みたいな話も聞こえてくるようになっています。まず、顔出しを要求したくなる心理から考えてみます。

学生に顔出しを要求したくなる心理

おくむらは心理学者でも何でもないので勝手な予想で書きます。実は、おくむら自身も、オンライン授業がスタートした4月当初は学生に対して、「可能な限りビデオをオンにして欲しい」と言っていました。学生もよく分からないままオンにしてくれていて、それはそれでうまく回っていたと思います。

どうしてビデオをオンにして欲しいと思うのか?

おそらく、教員も不安でいっぱいなんだと思います。一生懸命授業をやっても、学生の反応が見えないと伝わっているのか伝わっていないのかもわからない。教室で感じていた空気が感じられない。先に進んで良いかどうかも判断がつかない。

自分の授業を振り返ってみると、確かに4月当初は本当に実施側としても不安で、学生の反応を少しでも見たいと思っていました。問いかけたときにうなずいてくれる学生、不安そうな学生、色んな学生が映し出されて、その反応を見て説明をコントロールできました。

カメラをオンにして欲しいと要求するのは、授業をする側としてはある意味で自然なことなのかもしれません。

顔出しすることの必要性

もちろん、顔が見えるに越したことはないと思います。話しかけている相手が目の前にいるように見えて、自分の話にレスポンスしてくれる。授業というのは一方的なものではないはずなので、こういった非言語のやり取りが相互理解を生んでいると思います。

ただ、顔出しをする必要が本当にあるかと言われると疑問と言わざるを得ません。おくむらの担当授業でも、回を重ねるごとにビデオをオンにする学生の数が減り、今では1/3程度の学生が顔出しする程度になっています。

それでも、授業自体はうまく回っているんですよね。それは、おくむらがライブ配信以外の方法を併用しながら双方向性を確保しているからなのですが、顔出しをする以外にもレスポンスを得る方法はいくらでもあると気付くまで少し時間がかかってしまったことは否めません。

顔出しを強く要求してしまうタイプの先生は、ライブ授業を回すこと自体に必死になってしまっていて、いくらでも代替手段があることに気付いていないのが問題なのかなと思います。

(中には部屋を覗きたいとか犯罪行為に走っている人もいるとは聞きますが、真っ当に授業をしている人を想定して書いています)

対面授業を振り返ってみる

おくむらは、対面で授業ができていたときから、実はチャットシステムを併用した授業に取り組んでいました。

「これについてどう思いますか、意見を述べてください。意見のある方は挙手してください。」

授業中にこのように問いかけても、なかなか手は挙がりません。むしろ、無言の気まずい時間が流れることの方が多いです。適当に名指しで当てたとしても、大抵が「わかりません」という答えであまり面白みがない。

そこにチャットシステムを併用する授業を取り入れてみたところ、面白いほどコメントが集まるようになりました。おそらく、人前で発言するということに抵抗がある学生が多いのだと思います。チャットシステムの良いところはログが残ることで、後で振り返りができるという点が素晴らしいですね。

おくむらのように、何かしら「授業の双方向性」を確保しつつ授業をしている場合は、学生の反応が見えないということが「怖い」と思う気がします。レスポンスを見ながら授業をしているわけですから当然です。ただ、ライブ配信に頼り切らず、他の手段を併用すればうまくいくことに気付けば、顔出しの必要性はなくなるはずです。

一方で、そもそも双方向性をあまり意識せず一方通行な授業をしていた場合、顔出し強要に陥る可能性が高いように思います。学生の反応など普段からさほど見ていなかったにもかかわらず、オンライン授業を始めたら、「自分の授業を聞いていないとは何事だ!」と怒り始める。実は、そういう声が多数届いてきています。

授業アンケートを学内で誰でも閲覧できるようになっていますが、そういった声が寄せられる授業の過去のアンケートを見てみると、アンケート結果は散々なものです。「高圧的だ」とか「独り言が多すぎてわからない」とか。

信頼関係が大きな問題か

結局のところ、おくむらが「顔出しは不要」という結論に至ったのは、学生とのそれなりの信頼関係があるからだと思っています。顔を見ていてもいなくても、やることはきちんとやってくれている。要求すればきちんとレスポンスしてくれる。そういう関係が築けているからこそ、顔出しは不要だと思っています。

授業アンケートの評価がそもそも良くない場合、学生のことがわかっていない場合が多く、学生もまた、その授業担当のことをよく分かっていないので、信頼関係がないからこそ顔だけでも出させないと不安になるのだと思います。

小中高と違って、大学の場合は授業を通じて学生との信頼関係を作るかというと、おくむら自身が過去に受けてきた授業を振り返ってみても、あまり事例がないように思います。大規模大学になればなおのことだと思います。初対面の学生を相手に信頼関係を築きながらオンライン授業ができるか?というとかなりハードルは高いです。

こういう心理的な問題があって、授業がうまく回せないように感じてしまうから、顔出しを強要してしまってハラスメント問題になるのだろうと予測します。以下の問の答えを知っている人は、おそらくライブ配信授業を顔出しなしでもうまく回せると思います。

初対面の人の第一印象はどのぐらいの時間で決まると思いますか?

  1. 3秒
  2. 3分
  3. 3時間

もし第一印象が良くなかった場合、それを挽回するのにどのぐらい時間がかかると思いますか?

  1. 3時間
  2. 3週間
  3. 3ヶ月間

答えが知りたい人はおくむらに問い合わせてください。

今後のオンライン授業

ライブ配信授業を展開している方に対してとなりますが、顔出しはしなくても授業は展開できます。キーになるのは「双方向性」と「信頼関係」です。先の問の答えについて意識してみると良いと思います。そこを意識するだけで、授業の運営が楽にもなり苦しくもなります。

おくむらの場合、まだ一度も対面したことのない1回生からも「一番信頼できて相談しやすい」という授業評価を得ています。そこに注力しながらの手探り授業でしたので、授業アンケートを見て本当に嬉しかったです。

今後のオンライン授業を少しでも実りのあるものにしたいと考えていらっしゃる方と少しでもつながりを持てたら幸いです。まだまだ誰しもが不慣れなオンライン授業をより良いものにする、そんなやり取りをしたいものです。