みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。
研究をしていると、常に何かが進歩していくというだけではなく、数年前、十数年前に流行った研究が息を吹き返してくる、なんていうこともよくあります。2000年問題の頃からリーマンショックの頃までおくむらが取り組んでいた研究は知識ベース駆動のAIシステムでしたが、1周回って最近また同じような研究を見かけるようになりました。
同じような研究と言ってももちろん過去の焼き直し(銅鉄研究)みたいなものではなく、最近のトレンドをふんだんに取り入れたような研究になっています。今ならニューラルネットワークを使った何とかかんとか……みたいな感じですね。それはそれで大変面白いのですが、ベースの部分に疑問を持つことも多いです。
古き良きAIみたいに言われがちな知識ベースシステムですが、人間が書く知識というのは、統計的に処理したりルールで抽出したものと比べ、やはり純度が高く、大変信頼性の高いものとなります。知識ベース応答で対応可能な問題まで近年のトレンドで解こうとするとうまくいかないことも多々あります。
例えば、数量を含む演算の問題(リンゴ5つとミカン3つで果物はいくつ?みたいな)を特にしても、ルールベース、知識ベースで解くとほぼ正解に持っていけるのに、難しい処理をしてかえってうまくいっていない、そんなデモシステムも見ることがあります。(そういうときは、仮想環境でWindows XP + Visual Basic 6.0でしか動かない15年前のデモを見せたりもします)
それだけ経験があるから、そういう観点で評価できるのですが、そういう時代に身を置いたことのない最近の学生さんや研究者の方にはなかなか伝わらない面白さが古き良き知識ベース駆動の研究にも潜んでいます。データを集めて数で殴るのが正義みたいに思っている人がいると、少数精鋭の知識ベースにあっさり負けたりすることもあるわけですね。
全てのシステムがニューラルネットワークに置き換わった、みたいに言う人も居たりしますが、知識ベースは知識ベースですごく有用であることを再認識して欲しいなと思ったりする、おくむらはそんな知識工学畑の人間だったりします。
古い技術、枯れた技術と最新の技術がうまく融合するポイントが見つかると面白そうということで、連想の研究を続けています。そろそろ面白い論文が書けると良いなぁと期待しているところでもあります。日進月歩で着実に進めていきたいですね。