PTAとJABEE

投稿日:2020年01月13日 |カテゴリー:Blog, PTA, 学校

みなさま、こんにちは。おくむら(@nori_broccoli)です。

PTAというのはみなさんもよくご存知の団体だと思います。よくご存知でない…という人も、突然PTAの役員をやらされて否応なしに知ることになることも多いでしょう。そして、PTAに対する怨嗟が渦巻き、PTAをやめる!コサージュいらない!みたいな話に発展していきます。

一方で、みなさんはJABEEという団体をご存知でしょうか?

こちらの団体は、主として工学系の大学や高専に対して、一定の水準を満たした教育をしていることを証明するという謎の団体です。謎の団体というと余計にわかりにくいのですが、10年間JABEEと関わっていてもわからなかったので、たぶん誰もわからない団体で良いと思います(ダメです)。

JABEEの認定を受けると何が嬉しいかというと、「技術士の試験の1次試験が免除」以外に何もありません。そして、JABEEの認定を受けたからといって、技術士を目指す学生もほとんどいません。少なくとも、高専という業界では、JABEEの認定を受けて、その後そのメリットを活かして技術士になった卒業生はいないと聞きます。

では、どうしてこんな謎の団体の認定を受ける必要があるのでしょうか?

答えは簡単で、この団体が天下り団体で、言うことを聞かないと補助金削っちゃうよーみたいなプレッシャーを平気でかけてくる困った団体だからです。某高専に居た頃は、学生が単位を落とすことを「JABEEる(ジャビる)」と揶揄していたぐらい謎の団体です。

JABEEの認定を受けるにはかなりの作業を伴います。5年に1度訪れる認定では、過去5年間の評価根拠(エビデンス)を保存し、カリキュラムがJABEEの認定を受けるに相応しいか精査され、教員は無作為に面談に呼ばれ、認定の年になると大抵「あの教員はエビデンスを出していないからいつも大変なんだ!」とかいう状況になります。私もJABEE担当の委員をやったことがあるので、その作業量の多さには辟易した記憶です。

ただ、それだけ頑張って認定を受けても、メリットがほぼないどころか時間と労力の無駄になるので、誰も受けたがりません。

そこで、以前とある高専が「JABEEやめた!」と名乗りを上げました。これまで誰もそこには触れようとしなかったところに風穴を開けようとしたことに高専業界は震撼したものです。宣言通り、そこの高専はJABEEプログラムから抜けることになりました。…が、わずか2〜3年程度だったと記憶していますが、「やっぱりJABEEやるよ!」と言い出したわけです。どう考えても圧力かかってますよね?

私が務めていた某高専でも同様にJABEEをやめました。そうすると何が起きたかというと、とても平和な世界が訪れました。…と言えるはずもなく、また、ここで書いてはいけないレベルの問題が勃発しました。この件に関しては、ここでは決して書けないので、もし興味のある方がいらっしゃれば、学会の時にでもコッソリおくむらに聞いてみてください。

タイトルには「PTAとJABEE」と書きました。実は、この構図ってPTAもJABEEも同じなんだなーと最近思うようになりました。誰しもが不要だと思っていて、それがあることによるメリットよりも、デメリットの方が遙かに大きいのに、なぜかなくせない、なぜかやめられない、そんな困った団体です。興味がないから、不要だからやめます、というのが通らないってどういう世界なんでしょうか…。

PTAがやめられないのも、以前からいくつか書いているPTAネタにもあるように、日本PTAとかそういうレベルの大きな団体にぶら下がっているから、容易に抜けられないみたいな状況になっているのです。JABEEという天下り団体にぶら下がってしまったのが大失敗ですね。

ようやく無駄だとわかってきたのか、チラホラとJABEEを抜ける高専が出てきているようです(東京高専は去年辺りに抜けた?)。東大・京大・阪大・東工大など、そもそも外部団体の認定など受けなくても自信を持って学生を送り出している大学もこんな認定は受けていません。

世の中にはどう考えても不要なもの、無駄なものがたくさんあります。PTAでベルマークを数えるなんて、それに相当する分を募金した方がよっぽど使いやすく応用できる資金源になるし、無駄以外の何物でもないですよね。JABEEのためだけに集める資料(JABEE資料と呼ばれることもある)も全く無駄です。そのために年度末の忙しいときに2〜3日かかって資料を作るわけです。事務に丸投げできるなら良いですが、事務作業中の事務作業にもかかわらず全部研究を主体とする教員がやっています。無駄ですね。

やめたいのにやめられない、謎の取り組みがあるなら、勇気を持って「やめよう!」と声を上げていかないといけない時代です。時間は有限です。ほんの少し頑張るだけで無駄が減らせるなら、そういう努力に力を費やしたいものです。